4863 Words

とんがり帽子のアトリエ

1巻まで読了。結論から云うと大変微妙。

画力は高い。世界観も良い。言ってしまえばそれだけ。また、数ページめくっただけですぐに作者が女性だとわかった。1話が終わった頃にはほとんど確信していた。性別は公的には「不明」らしいが、どうしてこれが不明なのか?見りゃ分かるだろ。案の定深く調べるとやはり白浜 鴎は女性だと書かれていた。
大今先生みたいなごくごく一部の例外を除けば、やはり私は女性漫画家とは徹底的にウマが合わんなと思う。手を出さないほうがいい、としたいのだが、その場合は不滅のあなたへや聲の形を見逃すことになるのでそうともいえないジレンマ。
というより本作は女性云々というより「イラストレーター」の漫画であることが問題だと思う。再三言ってるけど、イラストレーターは漫画を描けない。無論例外はあるが、ほとんど断言してしまっていいほどに描けない。なぜなら絵を描く能力と漫画を描く能力はまったく別物だから。まったくです。類似してすらいない。ここのところをわからない奴が多い。特に女性。そう!その点で女性作家が厭なんだよなァ。
作品をあらわすのにあまりにも完璧なレビューが2つあったので引用します。これが「とんがり帽子のアトリエ」のすべて。

ネット広告で気になり購入。
とにかく画力が高く、1ページ1ページの構成も素敵です。
1コマ1コマ緻密に、丁寧に描かれています。カラーもとてもきれいです。
この辺りは丁寧な画で魅せる漫画を描く森薫さんに通じるものがあると感じました。
が、設定他、話の内容は良くも悪くも無難というか平凡というか王道ファンタジー過ぎて全く引き込まれません。
丁寧に描かれた世界も、いつかどこかで見た事あるような風景ばかりで心に残りません。
他の方も書かれていますが、この年頃の女の子ならばもっと心に深く傷を負うであろう
母親との離別シーンがあっけなく終わり、それが尾を引く事もほぼありません。
主人公の喜怒哀楽が平坦すぎるというか、全てのキャラクターやストーリーに深みがなく、記号的です。
何か描きたいものがある・伝えたい事があるというよりも、
絵と世界観を魅せる事が目的で、物語と設定などはその手段という印象を受けました。
それに加え「漫画」の描き方も下手なので、作品全体を通して薄っぺらく浅く、メリハリの無さが目立ちます。
掲載誌はモーツーよりなかよし辺りが妥当だと思います。
なかよし掲載作品の方がもっと漫画として素晴らしい作品ばかりではありますが…

薄っぺらいというか深みがなく、出てくるキャラクターと設定、展開のほとんどに対して
特定の作品のパクリというわけではないんだけれども、
どこかの何かを切り貼りしたような感覚が拭えないまま一冊を読み終え、
読んでいて先も気にならないし、とても退屈でした。
全体的にすべてが浅いのですが、絵柄や雰囲気などで何となく深みを出そうとしている印象を受けます。
特に主人公の友人テティア(出会い時のやり取り)、魔材屋の主人などは
「いかにも」海外児童文学に出てきそうなわざとらしさのあるキャラクターで、全く受け付けませんでした。

ただ作画だけは内容のなさを補って余りあるほどのクオリティだと思います。
更に言えば作画クオリティは高いけど、オリジナリティ、個性はそれほどありません。
例えば森薫さんはご自身の好きなものをこれでもか!! と描かれてて
その緻密な作画から溢れんばかりの愛を感じますし圧倒されますし、
どこでどんなイラストを拝見しても「あ、森薫さんだ」とほぼ気づけますが
(これは森薫さんに限らず、多くの漫画家さんにとってもですが)、
こちらは見た目だけの作品と言うか、ただ綺麗なだけで、そういった引き込まれるものを感じません。
この作品にしてもネットにアップされてるイラストを拝見しても、
最近は連載という形でこそないけれどハイクオリティな絵を描かれる方が大変増えた事もあり、
絵柄だけをパッと見てこの作者さんだとなかなか気づけません。
(追記)現に、最近とある書籍の表紙をこの方が描かれていたのですが、
パッと見て「綺麗なイラストだな」と目が行きはしたものの、この方だとわかったのは
表紙担当の名前を見てからでした…

愛があるから緻密に描く! ではなく、緻密な作画でとりあえず目を引く! な印象です。
いわゆる「魅せコマ」「魅せシーン」は作画・構成等素晴らしいのですが、
背景が白いコマも比較的多く、演出なのか手抜きなのかわからないけど
「漫画家」としての表現力はあまり高くないため、描写不足だと感じる事もしばしば。
漫画というよりは雰囲気と画を魅せたいのだろうなと感じました。
可愛い、綺麗、丁寧、繊細。褒め言葉は素直な感情として多く出てきますが、
唯一無二の絵柄というわけでもなく、この作者さんの「カラー」のようなものがまるで見えません。
「漫画家」ではなく、漫画家にもなりきれていない、
突出した個性もない「イラストレーター」の描いた作品だと感じました。

公式サイトより引用「精緻な絵で魅せる、王道ファンタジー!!」
まさにこの漫画を一言で言い表しています。
内容のなさを絵と雰囲気でカバーしていると言いますか、内容を褒めている方も多くいらっしゃいますが
この内容で画力が素人レベルだったらこれほど話題にはなってないです。
例え王道ファンタジーでも面白い作品は世の中にたくさん存在しますし、
作者の方は「漫画、話を創る力」のようなものが圧倒的に不足していると感じました。
設定がありきたりでも漫画を創る能力が高いか、漫画家としての能力は足りなくても設定が個性的で面白いか、
どちらかならまだもっと面白く読めたと思うのですが、どちらも欠如しており、
画力の高さだけが突出している作品だと思います。
個人的には絵が観たいなら画集を購入しますし、漫画家なら個性と内容で勝負してほしいので
漫画としては正直成り立っていないと思いますが、画力の高さで★2です。
普段漫画をあまり読まない方や作品に流れる雰囲気を味わうのが好きな方、絵に比重を置く方は楽しめそうです。

というより、キャッチーな題材+パッと見とても美麗な絵柄なので、
瞬間的にこれだけ話題になるのもとてもよく分かります、が、長く愛される作品にまではならなさそうです。
コマまで割れるくらいのいい原作者さんがついたら、面白い作品が描けそうな作者さんだと思います。
または元々イラストレーターで漫画を描き始め、画力の高さは元より
漫画としても大変面白い作品を描く鈴木理華さんや船戸明里さん、由羅カイリさんのように、
初めから土台が用意されているゲームなどのコミカライズならそこそこいい作品が作れそうではありますし、
画よりも話を考える(面白くする)能力を磨けばもしかしたら化けそうでもあります。
しかし画力と雰囲気でそれっぽく誤魔化す能力も非常に高いので、
それに頼っている内は物語を創る能力の向上は難しいのではないかと感じました。

白浜鴎先生のファンでした。

過去形なのは前作のエニデヴィから作風が変わってしまいノリについていけなくなったからです。

前作のエニデヴィでは作者が好き放題やっているのが感じ取れて大好きでした。

少しストーリーやキャラの感情についていけないところはあったけど、コメディ色が強かったし、深く考えないで楽しむ作品としてまとまっていました。

ストーリー<絵 という図式に合っていた内容だったのです。

ところがとんがり帽子になってからその図式が崩れました。
ストーリーと絵、どっちを見せたいのかわからなくなってしまったのです。

白浜先生の作風は明らかにストーリー<絵 の方が合っています。
それが無理にストーリーもしっかりさせようとしたところ、ストーリーが破壊されました。

いやストーリーは進むっちゃ進んでいきます。
しかしキャラの感情の描き方が下手過ぎるのです。

「ここはもっと怒るだろ」というところで怒らず、「ここはそんなに悲しまないだろ」というところで悲しませてしまうのです。

キャラの感情がストーリーの邪魔をしている。
キャラが描けていないということはストーリーが描けていないも同然です。

前作のエニデヴィでもそういう部分はありましたが、ストーリーは明らかに重視されておらず、コメディに昇華できていたのでまだ気になりませんでした。

漫画としても楽しめる画集に近い構成で、絵を見るために買っていました。

とんがり帽子は絵を見るにはストーリー(キャラ)が邪魔で、ストーリーを見るにはキャラが邪魔に感じてしまいます。

キャラがとにかく邪魔です。

特にキーフリー先生は主役ではないのに主役よりも活躍している。

本当はキーフリーを描きたいが何となく主人公を少女にしたように感じます。

お飾りの主人公を描くくらいならキーフリーを主人公にしたほうが良かった。

それにエニデヴィでは女性が主役だったのにとんがり帽子では明らかに男性が主役となってしまいました。

イケメンが好きな人向けです。
イケメンが好きならストーリーやキャラの粗も目を潰れるでしょう。

でもそうじゃない人には向かないと思います。

作者はストーリーの無い画集のような漫画の方が向いてます。
それか原作付きのものを描いて欲しい。

絵やセンスしか無い人がストーリーを描くとこうなる、という良い例です。
お願いだからもっと人の感情を大切にしてください。

世界観、特に魔法の仕組みのディティールの凝り方は素晴らしかった。だけどソレだけじゃ流石にどうにもなんない。
客観的に見ても特に致命的にひどいのが母親の離別シーンの薄っぺらさ。ここが決定打でした。

げんしけん

前情報一切なしで購入。1巻まで読了。こちらも大変、大変に微妙。
オタクどもが群がってなんかやってる話という設定自体はまぁ良いとしても、この感じだとゴールがまるで見えない。後いくらなんでもキモさに限度がある。オタクのキモさがリアルすぎます。全体的に何をやりたい漫画なのかまったくわからない。
オタクへのスティグマを払うみたいな話でもなさそうだし。例えば『こえでおしごと!』はエロゲの声優の話という同様にともすればキモいと取られかねない舞台設定だが、あれは正しくそういうスティグマへ反抗した、声優としてのプロ意識の尊さについて声高に言及した名作であった。げんしけんがそういう枠に収まろうとしてるのか、単なるゆるやかコメディなのか。どうも後者な気がする。その場合私のカッパティではない。最終話で黒髪のかわいいコスプレイヤーが出てきてかろうじてやや面白くなったが……とにかく微妙。

虚構推理

1巻まで読了。おもしれえええええええええ!!大当たりです。ただこれ漫画原作じゃないらしい。知らなかった、そんなの……。
話が面白い、キャラが可愛い、という具合で特に問題が見当たらない。大学なら「優」をつけられる優等生です。普通にめっちゃいいんで特に語るべきことがない。
キッチュにならない範囲で適度にオタクを惹くシーンを入れつつ、本筋がブレない調整が絶妙だと思う。物語の進み自体はスローなはずなのだけど、もとが小説だからか退屈しない。ダイアログが面白い。

総評

敗因: 全部前情報一切なしで買った

あれだね、せめて1話くらいは事前に読んでから買うべきですわ。だって私が厳選した漫画ToReadリストにあったからさぁ……どう厳選したのかというと、TWで好きな漫画を複数件並べてサーチすると「おすすめ漫画リスト」みたいな感じのツイットをしてる人らが引っかかるので、そのうち知らない漫画をピックアップしていったという具合。ただ今回買ったのはぜんぶ二軍というか、サーチのサーチで引っかかったみたいな曖昧な奴らだったのがよくなかった。一軍を買うべきだった。でもなかったんだもん……。
しかも悪いことに、げんしけんとアトリエに関してはもう5巻くらい一気に買っちゃってんだよな。ちまちま買うのも面倒と思ってやったのがアダになった。まあ授業料として受け取っておこう……2000円なら安いものだろう。



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